生理痛を緩和し、妊娠に至った不妊鍼灸治療
生理痛と不妊の関係
当院には、不妊症にお悩みの方が多くいらっしゃいますが、その多くが冷え性や生理痛の辛さも抱えていらっしゃいます。生理痛がひどいと妊娠しづらいと言われており、不安を感じている方も少なくありません。
東洋医学では、生理痛は気血の滞りや体の冷えによって子宮環境が悪化することで起こると考えられています。一方で、西洋医学では子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮筋腫などが原因になるとされています。
また、生理痛を引き起こすプロスタグランジンという物質が過剰になると、子宮の強い収縮や血流の滞りを招き、妊娠しづらい状態を作るといわれています。
鍼灸治療では、こうした原因にアプローチし、生理痛を和らげることで子宮内の環境を整えて、妊娠しやすい体作りのお手伝いをしています。
施術例
症例:30代後半 女性
主訴:不妊(1人目)、生理痛、骨盤周辺の痛み、疲れやすい
1年前から妊活スタート。
タイミング、人工授精とステップアップしたが妊娠には至らず。
今回、不妊クリニックを転院して体外受精から始めた。
過去、卵巣嚢腫摘出手術を受けている。現在は子宮腺筋症がある。
生理痛は、学生の頃から痛みは強く、出血色暗い。レバー状の血塊が出ることもある。
ご主人は、年上で不妊検査問題なし。
すでに1回採卵し、新鮮胚移植したが、着床しなかった。
全身の血のめぐりをよくして妊娠したい!
不妊以外の症状として
生理痛
骨盤周辺の痛み
疲れやすい
鍼灸施術
2回目の採卵周期に入るので、全身の血流をよくして妊娠できるように鍼灸施術を受けに来院。
お身体をみると、おなか、腰、おしりは硬く、冷たい。下半身は青アザができやすく、代謝が悪い。
おなか、腰、おしりが硬い、冷たいは不妊治療に大敵です!
全身に鍼灸施術は行いますが、この方は特に腰、おしりが硬いので、その部分はしっかりと施術を行いました。
鍼灸施術は、過去に受けられた経験がありましたが、久しぶりなので少し緊張していました。
不妊治療の鍼灸施術は、細い鍼を使用したやさしい刺激で行います。
施術後は、採卵に向けて、ご自宅でのお灸もお願いしました
不妊鍼灸治療の経過
この方は、市外から不妊クリニックに通院されていたので、当院の施術もクリニックのスケジュールに合わせての来院となりました。
鍼灸施術だけでなく、ご自宅でのお灸もきちんと行ってくれたので、徐々に生理痛や出血の症状が改善していきました。おなか、腰、おしりが硬い、冷たいのも施術回数を重ねていくうちによくなっていきました。
当院での不妊鍼灸施術を始めてから計2回の採卵を行いました。
初診の時、すでに2回目の採卵周期に入っていました。
1つの卵子が胚盤胞凍結できたのですが、状態がよくなかったようで次も採卵を行うことになりました。
この方は、不妊の要因として卵巣嚢腫の既往歴や子宮腺筋症(子宮内膜症の一つ)があり、卵子が育ちにくく数が少ないのも悩みでした。
3回目の採卵は、当院に通い始めて約2か月半頃の7回目の不妊鍼灸施術後になります。
3個採卵できて、2つ凍結保存できました。
1つは、4分割胚凍結、1つは、胚盤胞凍結です。
クリニックの判断により
3回目の採卵が終わって、すぐ移植に進まず1回お休みすることになりました。
移植に向けてお休み周期に入るので、この間に鍼灸施術でお身体を着床しやすくなるように整えていきます!
ご本人は移植が延期になったことに落ち込んでましたが、採卵するだけでも身体の負担は大きいです。
逆に次の移植までの時間を使って妊娠しやすい身体作りを目指しましょう!ということで不妊鍼灸施術を続けました。
不妊鍼灸施術で通院されてから約4ヶ月半。
初めての移植で、無事妊娠されました!!
妊娠陽性後は、すぐ「つわり」が始まったので数回施術を受けに来院されました。
鍼灸施術は、妊娠中の辛い症状や出産前、出産後の母体のケアにもとてもオススメです!
喜びの声
鍼灸治療を重ねていくうちに、辛かった生理痛や出血の症状が徐々に緩和されていきました。また、足の冷えやお腹、腰のかたさや冷えが改善されていくのをご自身でも実感するようになりました。
クリニックのある日は、当院に来て不妊鍼灸施術をしっかりと受けてくださいました。
不妊クリニックで妊娠陽性の診断がされた後にすぐご連絡を頂きました。このようなご報告は、何回聞いてもうれしく思います。
不妊鍼灸治療は、体質改善をして妊娠しやすい身体作りを目指される方が多いので、週1回位のペースで通って頂きたいです。さらに、不妊治療の段階や状況に応じて排卵日、採卵日や移植日、着床日などにも鍼灸施術を受けて頂くことで、より効果を出していきます。
体質改善を図るために、当院での鍼灸治療以外にもご自宅でのお灸をお願いすることがあります。
関連ページ
不妊症の鍼灸治療
冷えの改善から妊娠に至った不妊鍼灸治療
卵(胚)の質をよくするための鍼灸治療
子宮筋腫と不妊
子宮内膜症の鍼灸治療
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)による鍼灸治療
子宮内膜を厚くするツボ紹介
この記事を書いた人
鍼灸師 大平洋子 (おおひら ようこ)
中国鍼灸院 箱嶌医針堂にて美容鍼・女性疾患などを主に担当している。
健康になりながら、美しくなっていただけるように鍼灸治療を行っています。
より多くの方に鍼灸の素晴らしさを知って頂きたいと思っています。
鍼灸や美容に関するブログを書いています。