男性不妊の鍼灸治療
不妊の原因というと、女性側だと思われることが多いのですが、 実際の不妊の原因は男女比5対5です。
男性不妊の原因として、良好な運動精子を造りにくい造精機能障害、精子の通路が詰まったりしている精路通過障害、精子の問題はないが性機能に問題がある場合などが挙げれらます。
WHOでは、避妊なしの通常の性行為をパートナーと行って、1年間妊娠しない場合を不妊と定義しています。
不妊治療を行う際に、タイミング法、人工授精、体外受精など様々な種類があります。
一般的に、タイミング法を3~4周期行っても妊娠がむずかしい場合、人工授精に進む方が多いです。
もくじ
人工授精(AIH)とは
人工授精 (AIH:Artificial Insemination of Husband)とは、女性の排卵の時期に合わせて、洗浄濃縮したパートナーの精子を子宮内に注入する方法です。
人工授精(AIH)が向いているケース
・精子減少症や精子無力症で、精子にやや問題がある
・勃起ができず挿入できない勃起障害(ED)がある
・勃起はするが射精がうまくいかない射精障害がある
・精子が膣から子宮に入ることができない進入障害がある
・精子に問題はないがタイミング療法を6周期以上行っても妊娠が成立せず、体外受精を行うことには抵抗が強い
人工授精(AIH)が向いていないケース
・精子所見が良好な場合
・精子所見(精液量、精子数、運動率、奇形率、DNA損傷率)が著しく悪く顕微授精が必要
・卵管が狭い。もしくは閉じてしまっている。
・女性の年齢が高い
東洋医学からみた男性不妊
人工授精(AIH)の向いているケースを見ると、男性側の機能や精子に問題がある場合が多いように感じます。
東洋医学の観点から、男性不妊の原因の一つとして、「腎精不足」が考えられます。
腎精には2種類あります。
「先天の精」と「後天の精」です。
①先天の精とは、父母から受け継いだ生命エネルギーです。母親のお腹の中の胎児時期から存在します。
②後天の精とは、生後、主に飲食物から補う精のことです。
出生時に「先天の精」を授かって生まれ、出生後、主に飲食物から「後天の精」が補われます。
生活をしているだけで消化される腎精ですが、睡眠不足やストレス、バランスの悪い食生活などは精を減らし、精の浪費を増やします。
男性不妊に効果のあるツボ
鍼灸治療で男性側の体質改善を図ることで、機能改善や精子の質の向上、運動率アップなど人工授精の成功率も上がると考えられます。
おすすめのツボは、「太谿」です。足の内くるぶしとアキレス腱の間の凹んだ所にあります。
この凹みが深すぎると腎精不足なので、お灸でふっくらさせてあげるのがおすすめです!
男性不妊の鍼灸治療
患者さんのお身体の状態をみたり、妊活の経過を伺って、背中やおなか、手足など全身に鍼灸治療を施していきます。
とくに、腰部分に鍼灸をすることで、腎精不足を補い、生殖機能に働きかけるツボへもアプローチしていきます。
あわせて腰痛改善にもなります。
まとめ
不妊の原因は女性だと思われがちですが、男女比5対5というのが実際です。
妊活のタイミング法の次段階として人工授精(AIH)に進む方が多いです。
人工授精(AIH)に進む場合、男性側の性機能や精子に問題がある方が向いてるように見受けられます。そこで、男性側の不妊治療を行うことも大切です。
男性不妊の原因の一つである「腎精不足」の回復におすすめのツボ「太谿」があります。太谿以外にも背中やおなかにも効果的なツボがあります。
鍼灸施術では、男性不妊の治療とともに肩こりや腰痛などの治療も同時に行えるので一石二鳥、いえいえ一石三鳥です!
この記事を書いた人
鍼灸師 大平洋子 (おおひら ようこ)
中国鍼灸院 箱嶌医針堂にて美容鍼・女性疾患などを主に担当している。
健康になりながら、美しくなっていただけるように鍼灸治療を行っています。
より多くの方に鍼灸の素晴らしさを知って頂きたいと思っています。
鍼灸や美容に関するブログを書いています。