月経前不快気分障害(PMDD)に対する鍼灸
生理前になるとイライラしたり憂鬱になったり、自分で自分の感情をうまくコントロールできずに悩んでいる方が多くいらっしゃいます。
生理前に起こる様々な不調を月経前症候群(PMS)といいますが、特にこういった感情や気分に関する不調を月経前不快気分障害(PMDD)といいます。
もくじ
月経前症候群(PMS)
・胸やお腹が張る
・生理痛のような腹痛・腰痛がある
・体がだるい、むくむ
・頭痛、めまい
・肌荒れ、吹き出物
など、身体面に症状が出る特徴があります。
月経前不快気分障害(PMDD)
・八つ当たりしてしまうほどの自分で抑えられないイライラ、怒りがある。
・何もしたくなくなるほど気分の落ち込みが激しい。
・眠れない、あるいは寝ても寝ても眠くて仕方ない。
・ちょっとしたことで涙が出てしまう。
・自己否定感や孤独感が強くなる。
・不安感が強い。
など、PMSに比べると、こころに影響が出る特徴があります。
生理前の不調の原因
女性には生理があり、生理前や生理中、排卵前後などに合わせてホルモンバランスが変動しています。
ホルモンの影響で月に4回も性格が変わると言われていますので、生理前に感情をコントロールできないのは自分自身が悪いわけではありません(^^)
生理前の不調の原因は、この女性ホルモンの変動やバランスの乱れによるものです。
そして他にも原因の1つとして考えられるのは「セロトニン」というホルモンです。
幸せホルモンとも呼ばれているこのセロトニンは、生理前になると分泌量が減ってしまうんです。
セロトニンが減るとどうなる?
脳のいろんなところへ働きかけているセロトニンが不足すると、このようなことが起こります。
・気分が冴えず、ボーっとする。
・集中力が低下する。
・イライラや不安感が増す。
・痛みを強く感じやすい。
・姿勢が悪くなる。
セロトニンが不足することで、心身ともに様々な不調が起こります。
姿勢が悪くなる事もただそれだけではなく、筋肉の使い方に偏りが起き、神経や血管を圧迫するなどの悪影響があるんです。
自律神経の乱れと月経の関係
自律神経の神経伝達で中枢となる場所と、月経に関する神経伝達の中枢となる場所は、どちらも脳の視床下部という場所です。
体で受けた様々な刺激は脊髄を通って脳に伝わりますが、こういったように同じ場所を介することもあるため、双方に関係性を持ったトラブルが起こります。
例えば過度なストレスを受けると生理不順になる、生理周期が乱れると自律神経も乱れやすくなり、イライラや抑うつを引き起こしやすくなってしまいます。
鍼灸治療
月経に関するお悩みや自律神経などに対する鍼灸治療では、手足のツボに鍼やお灸をおこないます。
手足のツボで受けた刺激が神経を伝って脳の視床下部まで届きますが、そうすることでセロトニンの分泌が増えることが分かっているんです。
また、セロトニンだけではなくアドレナリンも分泌されます。
アドレナリンは基本的に体のスイッチをONにする作用があり、前向きになれたり、集中力が上がったり、体の痛みを感じにくくさせてくれます。
ツボ
鍼灸治療では、女性ホルモンに関するツボや自律神経に関するツボに鍼やお灸をおこないます。
そのなかの1つが「百会(ひゃくえ)」というツボです。
左右の耳の先を結んだ線と頭の真ん中のラインが交わるところで、ほとんど頭のてっぺんにあります。
精神を安定させる効果があります(^^)
百会はすごいツボで、他にも頭痛、めまい、抜け毛、鼻づまり、胃下垂、痔、高血圧などにも効果的だといわれています。
ご自身でも探しやすいツボですので、百会やその周辺で押して気持ち良い場所があれば指で刺激してみてください(*^^*)
まとめ
生理前の様々な心のトラブル「月経前不快気分障害(PMDD)」についてご紹介しました。
気分の落ち込みやネガティブ思考、イライラして人に当たってしまうことは良くないことだとわかっているぶん、自分自身も辛いですよね。
あまり悩まず、ホルモンのせいだから仕方ない!と割り切ってしまうのも、心が軽くなるので大切です。
仕事や人間関係に支障を及ぼすほど辛い場合は、婦人科などの病院でお薬をもらったり、鍼灸治療でケアするのもオススメです。
鍼による刺激は脳への血流量を増やしてくれますので、脳の栄養状態が良くなり鎮痛効果やリラックス効果が望めます。
繰り返し施術を行っていくことで、ホルモンバランスの変化でも体調を崩しにくい体づくりをしていきます(^^)
この記事を書いた人
美容鍼灸師 太田里穂(おおたりほ)
中国鍼灸院 箱嶌医針堂にて美容鍼・女性疾患などを主に担当している。
健康になりながら、美しくなっていただけるように鍼灸治療を行っています。
より多くの方に鍼灸の素晴らしさを知って頂きたいと思っています。
鍼灸や美容に関するブログを書いています。