不妊症を東洋医学の考え方で見る
不妊に悩む夫婦が増え、婦人科などへ通われている方が増えています。
なかには、体質改善のために鍼灸院へ通われる方もいらっしゃいます。
病院では実際に採卵して人工授精をしたりという治療が行われますが、鍼灸による治療では「より妊娠しやすい体づくり」のため、体調を整えるのが目的です。
そこで、鍼灸(東洋医学)では不妊症に対してどのような考え方をするのか、治療の効果や通う頻度、オススメのツボについてご紹介していきます。
東洋医学からみた不妊症
東洋医学では、動物が生命や健康を維持するためには気(エネルギー)と血の量や質、流れが重要であると考えます。
気が不足した状態を気虚(ききょ)、流れが滞っている状態を気滞(きたい)といいます。
血が不足した状態を血虚(けっきょ)、流れが滞っている状態を瘀血(おけつ)といいます。
不妊症の原因となる様々な婦人科疾患は、東洋医学の考え方で見るとどういう状態なのかを考えます。
例1)瘀血
例えば子宮内膜症は、本来子宮の内側にできる内膜が違う場所にもできてしまっている状態のことですが、これは血の滞りが起こっていると考えます。
子宮の中以外でできてしまうと、経血として排出することができないので体の中にたまってしまいます。
つまり瘀血になっている状態なので生理痛がひどくなりやすいんです。
例2)気虚
婦人科疾患など子宮や卵巣に異常がなくても妊娠しづらい方もいます。
やはり気虚というエネルギー不足の状態では着床して順調に育つことが難しくなります。
お仕事が忙しくてなかなか疲れが取れないという方に多いです。
しかし、気虚、気滞、血虚、瘀血のどれか一つだけでなく、「気血両虚」など複数の状態を併せ持っていることが多いです。
東洋医学による治療
婦人科での治療は、お薬などを使ってホルモンの分泌をコントロールして妊娠へ導きます。
それに対して鍼灸治療(漢方など、東洋医学)では、体質を改善していく治療法になります。
お薬ではないので時間はかかりますし効果にも個人差がありますが、体に優しい方法です。
病院での治療や体外受精、人工授精などの効果を最大限に引き出すため、体の調子を整える方法と思っていただければと思います。
鍼灸治療の効果
当院に不妊症の治療で通っている方は、すでに婦人科に通っていて採卵や体外受精・人工授精を控えているという方がほとんどです。
鍼灸治療をすることで起こる体の変化として
・血流が良くなる
・体温が上がる
・子宮内膜が厚くなる
・卵子の質があがる
・生理痛が改善する
・生理不順が改善する
などの効果が期待できます。
治療に通うペース
鍼灸治療をおこなうことで血流がよくなるのですが、その効果は治療をした2日後くらいをピークに1週間程度持続すると考えられています。
なので、できれば週に1回の治療をオススメしております。
当院では多い方で週に1回通われていますが、なかなか時間を作れないという方にはおうちでのセルフお灸を指導しております。
採卵や体外受精、人工授精などの予定が決まっている方は病院へ行く日の前後に、追加して集中的に鍼灸治療を受けることもオススメです。
セルフお灸のツボ
①婦人科疾患といえばこのツボ!
三陰交(さんいんこう)
内くるぶしから指の幅4本分あがったところです。
足元からの冷えを改善する効果があり、足の冷えがなくなるとお腹(子宮や卵巣など)も温まりますので、婦人科系のお悩みによく使われるツボです。
②気や血の流れを促進するツボ
太衝(たいしょう)
足の甲、親指と人差し指の骨が交わる場所です。
イライラやストレス、自律神経の乱れ、血流の促進に効果的です。
当院でご紹介させていただいているお灸は直接肌に火が触れることはありませんので、ぽかぽか温かい程度の刺激です。
敏感な方には少し熱いのですが、熱ければ取ったり場所を少しズラすなどしていただいて大丈夫です(*^^*)
お灸はお薬ではないので1日何回でもしていいですし、時間帯もいつでもいいですし、やり忘れても問題ありません。
しかし、できるだけ毎日、1回はやっていただけると効果を感じやすいと思います。
オススメは寝る前です。
寝る前にやると副交感神経が刺激されリラックスした状態になるので、睡眠の質が良くなります♪
まとめ
全ての方、全ての疾患に鍼灸治療が有効というわけではないので、こまめに通ったけど効果が感じられなかったという方もいらっしゃいます。
継続して通われている方の声として、体感できる変化で多く聞かれるのは生理痛が軽くなった、冷えが改善された、なんとなく体がスッキリ軽くなった、などです。
鍼灸治療をすることで気や血の流れ・バランスなどが整い、様々な不調が改善するんです!
ホルモンなどの数値や子宮内膜の厚さなどは鍼灸院では分かりませんしご自身でも分からないことなので病院で確かめるしかありませんが、鍼灸治療を受けることで少しでも良い方向へ変わることがあります。
病院での治療は体にストレスがかかることも多いですし、妊娠に対する焦りから心にもストレスがかかってしまいます。
そのストレスを受けた心身を癒す効果としても、鍼灸治療はオススメです(*^^*)
東洋医学の観点で体質を把握し、鍼灸院での治療やセルフお灸などでケアしてみてください♪
この記事を書いた人
美容鍼灸師 太田里穂(おおたりほ)
中国鍼灸院 箱嶌医針堂にて美容鍼・女性疾患などを主に担当している。
健康になりながら、美しくなっていただけるように鍼灸治療を行っています。
より多くの方に鍼灸の素晴らしさを知って頂きたいと思っています。
鍼灸や美容に関するブログを書いています。