黄体機能不全による不妊症の鍼灸治療
妊娠は精子と卵子が受精し、その受精卵が子宮内膜に着床して、成長していくことで妊娠となります。
しかし、受精卵が子宮内膜に着床できない場合あり、それを着床障害と言います。
この着床障害の原因の1つとして、「黄体機能不全」が挙げられ、不妊症の原因の約10%が「黄体機能不全」によるものと言われています。
黄体機能不全とは
受精卵が子宮内膜に着床するために、排卵後に黄体から分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)が、子宮内膜を厚くしてくれます。
しかし黄体の機能が悪く、ホルモンの分泌が少ないと、子宮内膜が充分に厚くならなりません。そのため、受精卵が着床しにくい状態(不妊症)になります。
黄体機能不全は、卵胞刺激ホルモンや黄体形成ホルモンの低下、子宮内膜の機能の低下などが黄体機能不全の原因ではないかと言われています。
東洋医学から見た黄体機能不全
東洋医学では、黄体機能不全を生殖や成長と関係のある「腎(じん)」の力が弱いために起こると考えられています。
腎の力が弱いと卵胞がうまく育たたないし、黄体の機能も低下してしまいます。
また、瘀血(おけつ)など血めぐりが悪く、冷えが原因となることがあります。
そのため、子宮や卵巣が冷えて高温期が短い、高温期と低温期の差がないなどになります。
黄体機能不全の鍼灸治療
鍼灸治療では、腎の力を補い、特に子宮や卵巣の血の巡りを良くして、冷えを改善していきます。
そのため、お腹や骨盤周り、手足のツボに鍼灸治療を行います。
また、自律神経を改善していくことで身体全体を整えていきます。
その結果、女性ホルモンの分泌が改善され、妊娠しやすいカラダへの準備が整っていきます。
中国における黄体機能不全の鍼灸治療レポート
【目的】
鍼治療による黄体機能不全による不妊症の効果の観察
【方法】
黄体機能不全による不妊症と診断された患者50人を鍼治療グループ30名、お薬(クロミッド)グループ20名に分け、
治療前後のhigh phase scoreによる黄体機能の状況、血中E2(エストラジオール)、P(プロゲステロン)および卵胞と子宮内膜の状況を観察した。
【結果】
鍼治療グループ、お薬(クロミッド)グループともに黄体機能が明らかに向上したが、
鍼治療を行ったグループは子宮内膜が改善し、妊娠後の流産率も低かった。
鍼灸治療は現代医学による最先端治療と併用していただくことで、
より効果的に妊娠しやすいカラダ作りのお手伝いができます。
黄体機能不全が原因の不妊症でお悩みの方は鍼灸治療を受けてみてはいかがでしょうか。